2026.04.21
技術コラム

トクセン工業では、物質表面(数nm程度の深さ)の元素組成や化学状態を調べる表面分析が可能なXPS(ESCA)を所有しております。分析範囲は、光源であるX線を絞った領域となります。
本記事では、メッキの分析技術と制御技術へのアプローチについて紹介します。
皆さんが日ごろ目にするタイヤは、一見、ゴムの塊のように見えますが、100km/hを超えて走行する自動車、乗員の安全を確保するため、様々な技術が使われています。
中でも我々トクセン工業が長年にわたって信頼を得てきたスチールコードやビードワイヤはその中核を担う製品です。
ビードワイヤはホイールとタイヤをしっかりと固定するため、スチールコードは走行安定性を向上させるために必要不可欠な製品となっています。

走行速度、運転の癖にもよりますが、タイヤの寿命は4~5年と言われます。また、走行距離は4~5万kmとも言われております。
この間、我々のスチールコードはタイヤのゴムと剥離せず、また断線せず、かつ100km/hを超える速度で走行されたとしても、安全を担保しなければなりません。
このため、トクセン工業ではAESを用いたスチールコードとゴムの接着メカニズム解明に多くの時間を費やしてきました。スチールコード表面には銅亜鉛(ブラス)メッキが施されており、ゴムが加硫する際、銅が架橋の間に入り込むことで強固な接着力を得ることができます。
一方で亜鉛は、経時的に銅がゴム側へ拡散していくことを防ぐフィルターの役目を果たしています。
このメカニズムもトクセン工業が長年にわたって研究を続けてきた中から、解明された成果の一つです。
これまで、トクセン工業で長年にわたって研究を続けてきたスチールコードとゴム接着のメカニズムからわかったことがあります。
ブラスメッキを作製する際、銅と亜鉛を均一に合金化するのではなく、ゴムと反応するメッキの表面部分の銅と亜鉛の組成を調整することで初期だけでなく、経時的な変化に対しても良好な接着状態を維持でき、品質・寿命の向上につながることがわかってきました。
しかしながら、ゴムと反応するメッキ表面部分の厚みは、数nm~数十nmであるため、nmオーダーのメッキ制御技術と分析が不可欠となります。特にXPS(X線光電子分光分析装置)分析は、nmオーダーの厚みの元素結合の状態が分析できるため、非常に有用な手法となります。

トクセン工業では、分析機器を用いて研究・開発を積み上げてきました。
共同開発や製品開発等のご要望がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。