微細導電材料の未来を拓く―独自技術が生む銀ナノ粒子の可能性―

2026.04.01

技術コラム

  • #微細粒子形状加工
  • #銀ナノ粒子生成

微細導電材料の未来を拓く―独自技術が生む銀ナノ粒子の可能性―

金属としての高い導電性や熱伝導性、ナノサイズ特有の性質を持つことから、電子材料等の多様な分野で注目されている「銀ナノ粒子」。今後の技術革新において注目されている素材の一つと言われています。本記事では、導電材料として銀が適している理由、主な用途や使用方法、更には銀ナノ粒子が持つ可能性をご紹介します。

なぜ銀が導電材料として選ばれるの?

高価なイメージのある銀が、なぜ導電材料として選ばれ続けているのか。そこには、他の金属では代えがたい特性と、現代の電子機器を支える特徴があります。その理由を紹介します。

①電気伝導率が最も高い金属
銀は全金属中で最高の電気伝導率(約 6.3 × 10⁷ S/m)を持ちます。
これは、自由電子の密度が高く、電子が金属内を移動しやすいためです。

②接触抵抗が低い
接触部での電流の流れがスムーズで、微細接点でも安定した導通が得られます。
特にプローブピンなどの精密接触部品では、信号の正確な測定に貢献します。

③加工性が良い
銀は柔らかく、微細加工や表面処理がしやすいため、ナノ粒子や薄膜にも適しています。

④熱伝導性も高い
電気だけでなく熱もよく伝えるため、発熱を抑えたい電子部品にも適しています。

⑤化学的安定性
銀は空気中で酸化しやすいですが、銀酸化物も導電性を持つため、ある程度の酸化でも性能が維持されます。長期安定性を求める場合は金メッキなどで補強されることもあります。

以上5つのポイントに分け、紹介しました。
電気・熱の伝わりやすさ、安定した接触特性、加工のしやすさといった特長が組み合わさることで、電子部品に欠かせない存在となっています。導電材料として銀が選ばれ続ける理由は、総合的な優位性にあります。

銀ナノ粒子とは?

次に銀ナノ粒子について紹介します。
銀ナノ粒子は、粒径が1〜100ナノメートルの微細な銀の粒子で、金属としての高い導電性や熱伝導性に加え、ナノサイズ特有の性質を持つことから、電子材料や抗菌製品など多様な分野で注目されています。
製造方法には、化学還元法や物理的粉砕法などがあり、粒子の形状やサイズ、分散性を制御することで、用途に応じた特性を引き出すことが可能です。例えば、導電性インクやペーストとしてプリンテッドエレクトロニクスに使用されるほか、抗菌性を活かして衣料品や医療機器、化粧品などにも応用されています。また、銀ナノ粒子は表面プラズモン共鳴(SPR)という光学特性を持ち、バイオセンシングや光学デバイスにも利用されるなど、今後の技術革新において重要な役割を果たす素材とされています。

銀ナノ粒子の使用方法

銀ナノ粒子は粉末とペーストに分かれます。ここではそれぞれの用途やメリットについて紹介します。

① 銀ナノ粒子(粉末タイプ )
・特徴:
ナノサイズの銀粒子が乾燥した粉末として存在
高純度・高導電性・高表面積
・主な用途:
焼結材料として使用(加熱して接合部を形成)
研究開発用途(ナノ材料の評価や新素材開発)
パワー半導体の接合(高温耐性が求められる場面)
・メリット:
自由に分散剤や溶媒を選べる
高温焼結や特殊用途に対応しやすい

② 銀ペースト(溶媒分散タイプ)
・特徴:
銀ナノ粒子を溶媒へ均一に分散
印刷や塗布がしやすく、加工性が高い
焼成後に導電性膜を形成
・主な用途:
プリンテッド・エレクトロニクス
(インクジェット・スクリーン印刷)
太陽電池・タッチパネル・フレキシブル基板
センサーやRF部品の微細配線形成
・メリット:
加工性が高く、量産に向いている
低温焼結で樹脂基板にも対応可能

粉末タイプとペーストタイプでは、プロセス適合性や最終特性に明確な違いがあり、用途に応じた最適選択が不可欠です。
次に、自社が提供する銀ナノ粒子がどのような特徴を持ち、どの点で他社製品に対して優位性を発揮するのか、その技術的な強みについて詳しく解説します。

トクセン工業の銀ナノ粒子の特徴と技術的な強み

トクセン工業が製造する銀ナノ粒子は、独自の製造方法により、他社製品とは一線を画す性能を誇ります。代表的な製品「TOSFINE」シリーズは下記の特徴があります。

①高導電性・高鏡面性
単結晶フレーク構造により、電子の移動がスムーズで高い導電性、放熱性を実現。
表面が滑らかで、鏡面仕上げが可能。

②低温焼結性
約120〜200℃で焼結可能なため、熱に弱い基板や部品にも対応。
フレキシブル基板や樹脂基板への応用が可能。

③分散性・インク化対応
溶媒への分散性が高く、インクジェット印刷やスクリーン印刷に適している。
高濃度銀ペーストとしても使用可能。

④カスタマイズ性
銀濃度、分散溶媒、表面処理などを用途に応じて調整可能。
顧客ニーズに合わせた材料設計が可能。

これら4つの特徴を持ち合わせた当社の製品を紹介します。

N300
フレーク銀の取り扱いやすさと、ナノサイズならではの高い表面活性、低温焼結性を併せ持ち、接合剤や微細配線形成など、多様な用途において優れた導電性や信頼性を発揮します。

M13
微細で高精度な印刷パターンに対応し、平滑な形状特性によりフレキシブルデバイスへの適用も可能です。

LM1
フレーク形状と多面体形状が組み合わさることにより、高密度な粒子充填を実現しています。高い信頼性が求められる車載電子部品、通信モジュールなどにおいても、安定した導電特性と耐久性を発揮します。

KM120
120℃という低温での焼結を実現しており、高温で焼成しなくてもバルク同等の電気特性を発現します。また、配線・接着剤・放熱材料でこれまで困難とされてきた熱に弱い基材への適用が可能です。

銀ナノ粒子の可能性と今後の展開

本コラムでは主に銀ナノ粒子の特徴についてご紹介させていただきましたが、当社では更なる可能性を秘めた素材だと考えております。

①プリンテッド・エレクトロニクス
インクジェット印刷による微細配線形成により、ディスプレイ・太陽電池・タッチパネルなどへの応用が進む。

②パワー半導体接合材料
SiCなどの高耐熱半導体に対し、鉛フリーはんだの代替として期待。
EVや再生可能エネルギー分野での活用が見込まれる。

③ウェアラブル・フレキシブルデバイス
低温焼結性と柔軟性を活かし、衣類や皮膚に密着する電子機器への展開。

④次世代通信・高周波対応
高導電性と低損失特性により、5G/Beyond 5Gの高周波部品への応用。

⑤医療・バイオ分野
銀の抗菌性を活かした医療用センサーやバイオデバイスへの展開も可能。

このように、銀ナノ粒子は無数の可能性を秘めた素材です。当社では、こうした技術動向に応じた材料設計やカスタマイズにも対応しております。具体的な課題やご要望がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。皆さまのニーズに寄り添いながら、銀ナノ粒子の持つ無限の可能性をともに切り拓いてまいります。

担当事業部
機能材料事業部