2026.02.25
技術コラム

複合加工機は、旋削とミーリングを一台で完結させることで、精度と効率を同時に高めることができます。段取り削減による誤差抑制や、基準統一による高い再現性など、従来の分離工程では実現が難しかった価値を生み出します。
本記事では、複合加工機による一体加工の技術的優位性と、ミーリング工程内製化による品質・生産性向上のポイントについて解説します。
精密機械部品の製造において、素材保持を変えずに旋削とミーリングを連続して行える複合加工機は、工程統合による精度管理の優位性を発揮します。
段取り替え回数の削減は位置決め誤差の蓄積を防ぎ、同一基準面での加工により、同心度や直角度、面精度の安定性が向上します。
5軸同時制御と複合加工機の組み合わせにより、複雑形状でも工具姿勢を最適化でき、刃先負荷を均一化しやすくなるため、仕上げ面品位の高い一体加工を短時間で達成できます。
多面ワークの連続加工でも干渉リスクを低減し、加工のバラつきを抑えます。
旋削主軸に加え、ミーリング主軸(回転工具)を備えることで、キー溝、平面、穴、ねじ、ポケットなどのミーリング工程を機内で完結できます。
特に、旋削後の面に対する穴加工や溝加工は、一度のクランプで加工できるため、同軸度とピッチ精度の整合が取りやすくなります。
横向き・斜め方向への工具アプローチにも対応できるため、段付き形状のポケットや斜面への座ぐりなど、従来は別工程・別治具が必要だった形状も効率良く処理可能です。
これにより、切削時間だけでなく、段取り・測定の補助時間を含めた総加工時間の短縮が期待できます。
他工程の内製化による品質一貫性の確保
ミーリング工程を社内で取り込むことで、旋削とフライスの分離工程だった製品群の内製化が可能になります。工程間の輸送や外段取りが不要となり、同一管理体系で図面意図を最後まで維持できます。
例えば、機能面の相対位置精度が品質を左右するバルブ部品や、同軸・角度・面粗さが複合的に絡む治具部品では、工程を跨いだ基準の取り直しが大きな誤差要因でした。
複合加工機による一貫加工は、基準統一と温度・保持条件の整合をもたらし、寸法の再現性とトレーサビリティの向上につながります。これにより、初品から量産まで品質の安定を図れます。
5軸制御の利点は、工具姿勢の自由度により、アンダーカットや多面取り、自由曲面に対する最適アプローチが可能になる点です。工具突出量を抑えた刃先角度設定ができ、ビビりの発生を抑制しやすく、加工面の均質性を確保できます。
また、曲面加工ではステップオーバーと送りの最適化により、加工痕の周期性を制御し、二次処理の研磨量を低減できます。
干渉チェックを前提としたプログラム運用により、治具の簡素化も叶い、薄肉部品や難削材でも、切削負荷分散と熱影響の管理がしやすくなります。結果として、複雑形状への対応範囲が広がります。
複合加工機では同一チャックで多工程を連続実行できるため、段取り替えの回数・内容が簡素化します。治具の着脱、芯出し、原点合わせといった準備作業が減り、現場の負荷が軽減されます。
段取り工程数を減らすことは、部品の保持形態変化に起因する誤差の抑制につながり、加工再現性が高まります。工具交換の計画も機内で統合管理できるため、工具摩耗や切り屑排出の制御も一貫し、トラブルに対する早期検知が可能です。
これらは設備稼働の安定化に寄与し、製造リードタイムの短縮と納期信頼性の向上を後押しします。
ミーリング工程を含む製品の内製化は、工程設計・ツール選定・加工条件標準化の3点が鍵になります。
工程設計では、旋削とミーリングの順序、基準面の持たせ方、クランプ力と変形のバランスを事前に定義し、5軸の工具姿勢計画を含めて統合します。
ツール選定では、被削材に応じた刃型(コーティング、チップブレーカ)、刃数、突出量の最適化が重要です。条件標準化では、切込み・送り・主軸回転の窓を設定し、加工面粗さと寸法精度のターゲットを明確化します。
これらの準備により、ミーリング工程のある製品でも、短期間での立上げが可能になります。

シャフト-フランジ一体型部品は、複合加工機の強みを最も発揮できる代表例です。
従来は旋削で軸部を仕上げた後、別工程で穴を加工していましたが、複合加工機ではこれらを一度のクランプで連続加工できます。
さらに、5軸制御を活用することで、フランジ面への斜め穴や座ぐり加工も干渉なく実行可能です。段取り替えが不要なため、治具の簡素化と加工時間の短縮が実現し、量産時の品質安定性も向上します。
特に、回転体のバランス精度が重要な部品では、複合加工による一体仕上げが振動特性や耐久性の改善に直結します。このように、複合加工機は高精度と高効率を両立させる有力な手段です。
複合加工機の導入は、ミーリング加工の機内完結と多工程の内製化を実現し、基準統一による精度安定、段取り削減による効率化、5軸制御による複雑形状への適応力をもたらします。
これにより、工程横断の品質管理が容易になり、寸法の再現性と仕上げ面の品位が向上します。
当社では、ミーリング工程のある製品の内製化を今後立ち上げ予定としており、一体加工の強みを最大限に活用しながら、短納期・高品質に応える体制を整えてまいります。
精密機械部品の新たな可能性を、複合加工の技術で切り拓きます。
ミーリング工程を含む精密機械部品製作など、ご検討中の案件がございましたら、ぜひお問い合わせページよりお気軽にご相談ください。