2026.04.14
技術コラム

トクセン工業では、非常に高い解像度で微細な表面構造を観察できる電子顕微鏡(FE-SEM)を所有し、日々の分析や製品開発で活用しております。
本記事では、FE-SEMによる解析がもたらした新しい界面評価技術についてご紹介します。
皆さんが日ごろ目にするタイヤは、一見、ゴムの塊のように見えますが、100km/hを超えて走行する自動車と乗員の安全を確保するため、様々な技術が使われています。
中でも我々トクセン工業が長年にわたって信頼を得てきたスチールコードやビードワイヤはその中核を担う製品です。
ビードワイヤはホイールとタイヤをしっかりと固定するため、スチールコードは走行安定性を向上させるために必要不可欠な製品となっています。


走行速度、運転にもよりますが、一般的にタイヤの寿命は 4~5年と言われます。走行距離に換算すると4~5万kmとも言われています。
この間、スチールコードはタイヤのゴムと剥離せず、また断線せず、かつ100km/hを超える速度で走行されたとしても、安全を確保しなければなりません。
このため、トクセン工業ではAES(オージェ電子分光法)を用いたスチールコードとゴムの接着メカニズム解明に多くの時間を費やしてきました。
スチールコード表面には銅亜鉛(ブラス)メッキが施されており、ゴムが加硫する際、銅が架橋の間に入り込むことで強固な接着力を得ることができます。
一方で亜鉛は、経時的に銅がゴム側へ拡散していくことを防ぐフィルターの役目を果たしています。
このメカニズムもトクセン工業が長年にわたって研究を続けてきた中から、解明された一つです。
当初、接着反応層はTEMによってのみ観察可能でしたが、観察技術を向上させることにより、TEMまで鮮明ではないものの、FE-SEMにて汎用的に接着反応層を観察できるようになりました。
その結果、ゴム・スチールコードに加え、ゴム・ビードワイヤにおける反応状態についても評価が可能となりました。
観察の結果、スチールコードとビードワイヤでは、それぞれのメッキにおけるゴムとの反応様式が大きく異なることが明らかとなり、具体的には、スチールコードのメッキは部分的にのみゴムと反応しているのに対し、ビードワイヤのメッキは全面にわたってゴムと反応していることが確認されました。
FE-SEMを用いることにより、従来数日かかっていた反応層の直接観察を簡易的に行えるようになり、安全性向上に向けた迅速な対応ができるようになりました。

このようにトクセン工業では分析機器を用いて、製品の品質向上につなげる取り組みに向き合い続けています。
「分析をしながら品質を高めていきたい」「より精度を高めるための解析をしていきたい」といった開発案件についても、ぜひお問い合わせください。