2026.04.01
技術コラム

脳や心臓といった重要な臓器の治療において、患者負担をいかに軽減するかが大きな課題となっています。その解決策として普及が進むのが「低侵襲治療」です。
本記事では、この治療を支える極細ワイヤ技術と、その役割についてご紹介します。
近年、脳卒中や心疾患など、血管に関する病気が多くなっています。
血管の中に血栓と呼ばれる塊が発生し、その塊が血流を妨げることで心臓や脳に悪影響を及ぼすものです。
これまで、このような疾患の手術では体表面の切開を行い、患部の治療を行うことが主流でした。
身体を大きく切ることで、患者さんへの身体的負担が大きく、また術後の回復にも時間がかかり、長く仕事や学校を休む必要がありました。また、切開した痕が体に残ってしまう、見た目の課題もありました。
こうした課題を背景に、普及が進んでいるのが低侵襲治療です。
カテーテルやガイドワイヤなどの細く長い器具を用いて、患者さんの体に数mmの切開を行い、それらの器具を挿入して患部の治療を行います。
患者さんの身体への負担は大きく緩和され、術後の社会復帰の短縮につながったり、手術痕が目立ちにくくなりました。
低侵襲治療に用いられるガイドワイヤは血管内に挿入しますが、脳や心臓の治療に用いられるものは直径1~3mm程度の太さです。
細い器具の中には、さらに細い金属コイルが備わっており、その素材にはトクセン工業の極細線加工で製造されたワイヤが使われています。

金属コイルの様な医療分野で使われる金属にはステンレスが用いられています。
ステンレスは耐食性が良く、加工性が優れているため、医療分野で多岐にわたって使用されています。
トクセン工業はスチールコードやピストンリングで培ってきた鋼やステンレスでの加工技術を用い、医療分野の要望にお応えするため、より細く、より高精度を目指して加工技術を高めてきました。
その探求により生まれた極細線加工で生み出されるワイヤは、φ0.01mm程度の細さまで加工が可能となりました。
カテーテルの先端にあるステンレスコイルは、細く枝分かれした血管内を進むために、柔軟性が必要です。このような特殊な状況下では、高い精度の寸法、コントロールされた物性を持つワイヤが必須です。
トクセン工業で培われた加工技術によって作られたワイヤが、お客様のご要望に応え、低侵襲治療を支えています。
また、極細線ワイヤは、コントロール用の撚線や、シャフト用コイルなど様々な部材のもとになっています。
ワイヤの寸法や強度は、極細線加工における熱処理・伸線加工を駆使し、お客様のご要望の物性に調整が可能です。ぜひお気軽にお問い合わせください。