世界初! ゴムとスチールコードの接着界面を直接観察!

2026.02.20

技術コラム

  • #AES(オージェ)

世界初! ゴムとスチールコードの接着界面を直接観察!

トクセン工業では、物質の表面数nm(nm = 100万分の1mm)に存在する元素に対して、定性・定量分析が可能な装置であるAES(オージェ電子分光分析装置)を所有しております。
エッチング機能を用いて、深さ方向への定性・定量分析が可能であり、微小範囲の解析を得意としています。ここでは、AESの分析がもたらしてきたタイヤの開発についてご紹介します。

スチールコード、ビードワイヤの役割

皆さんが日ごろ目にするタイヤは一見、ゴムの塊のように見えますが、100km/hを超えて走行する自動車、乗員の安全を確保するために様々な技術が使われています。
スチールコード、ビードワイヤはその中核を担う製品で、ビードワイヤはホイールとタイヤをしっかりと固定するため、スチールコードは走行安定性を向上させるために、必要不可欠な製品となっています。

安全性を担う技術

走行速度や運転の癖にもよりますが、タイヤの寿命は 4~5年と言われており、走行距離に換算すると4~5万km程度になります。
この間、スチールコードはタイヤのゴムと剥離せず、また断線せず、かつ100km/hを超える速度で走行されたとしても、安全を確保しなければなりません。
そのために、トクセン工業ではAES(オージェ電子分光分析装置)を用いたスチールコードとゴムの接着メカニズム解明に多くの時間を費やしてきました。
スチールコード表面には銅亜鉛(ブラス)メッキが施されており、ゴムが加硫する際、銅が架橋の間に入り込むことで強固な接着力を得ることができます。
一方で亜鉛は、経時的に銅がゴム側へ拡散していくことを防ぐフィルターの役目を果たしています。
このメカニズムもトクセン工業が長年にわたって研究を続けてきた中から、解明された一つです。

世界初の分析技術で接着メカニズムを直接観察!

AESを用いた研究と並行して、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いた反応層の観察にも取り組み、2004年のITEC (International Tire Exhibition &Conference)にて、論文を発表しました。
世界で初めてゴムとスチールコード表面の反応層を直接観察したことを高く評価され、アワードを受賞しました。加えて、AESを使用した研究結果とTEMを用いた研究結果が概ね同等であることも確認されております。
この取り組み以降、国内外でAESを用いたタイヤの劣化モデルの研究が活発となりました。
この結果は、トクセン工業の高い技術力を認めていただけただけでなく、ステークホルダーからも高い信頼を得る結果につながった事例となりました。

目に見えない接着メカニズムの解明は、安全を支える根拠づくりでもあります。
トクセン工業は、解析技術と長年の知見をもとに、タイヤ用スチールコードの性能向上に取り組んできました。

接着性の課題や劣化メカニズムの検討、新規開発に関するご相談などがございましたら、ぜひお問い合わせページよりご連絡ください。技術的な視点から最適なご提案をいたします。

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