2026.04.01
技術コラム

ワイヤは、半導体製造や医療機器、精密機械など、最先端の分野で不可欠な素材です。その品質は、製品性能に直結します。
では、そのワイヤはどのように作られているのでしょうか?
答えの一つが「伸線加工」です。そして、その中でも重要な技術が乾式伸線です。
伸線加工とは、金属線材をダイスと呼ばれる工具に通し、所定の径まで引き延ばす工程です。このとき、線材とダイスの間には強い摩擦が発生します。摩擦を適切に制御しなければ、表面品質の低下や工具寿命の短縮につながります。
ここで登場するのが潤滑技術です。伸線には大きく分けて湿式(液体潤滑)と乾式(粉末潤滑)があります。乾式伸線は、粉末状の潤滑材を線材表面に付着させ、ダイス通過時に潤滑膜を形成する方式です。

シンプルな設備構成
潤滑槽や循環装置が不要で、ライン設計が簡単。
高い生産性
高速伸線に対応しやすく、量産に適する。
幅広い材質に対応
炭素鋼線から高炭素鋼、特殊鋼まで適用可能。
環境負荷低減
廃液処理が不要で、管理が容易。
湿式との違いは、冷却性能や潤滑性のアプローチにあります。湿式は液体で潤滑と冷却を同時に行うのに対し、乾式は潤滑膜による摩擦低減が主体です。どちらが優れているというより、加工条件や製品仕様に応じて使い分ける技術です。
半導体や医療機器に使われるワイヤは、寸法精度、表面品質、強度が求められます。乾式伸線は、これらの要求に応えるため、以下の点で有利です。
表面品質の安定性
潤滑膜が均一に形成されることで、微細な傷や酸化を防止。
寸法精度の確保
摩擦制御により、ダイス摩耗を抑え、安定した径を維持。
高強度材への対応
無機系や複合系潤滑材を用いることで、高炭素鋼や特殊材にも対応可能。
乾式伸線で得られるワイヤは、以下の特性を持ちます。
均一な表面仕上げ
医療機器や半導体用途で重要な清浄度を確保。
高い寸法精度
微細加工や精密組立に対応。
長期信頼性
摩耗や腐食に強く、製品寿命を延ばす。
近年、乾式伸線は進化を続けています。
高速伸線対応
複合系潤滑材や極圧添加剤により、高速加工でも潤滑膜が安定。
環境対応型潤滑材
粉塵低減、再利用可能な潤滑材が登場。
乾式伸線は、単なる加工技術ではありません。製品性能を左右する重要な要素です。
「表面品質をもっと安定させたい」「高速加工で品質を維持したい」「環境対応を強化したい」など課題がありましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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