コイリング加工でできること

2026.04.01

技術コラム

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コイリング加工でできること

コイル状に加工された金属ワイヤは、単なるバネとしての役割だけでなく、回転やトルクを遠隔に伝える特殊な機能を持つ構造体として活用されています。
医療分野をはじめとする低侵襲治療の現場では、その柔軟性と伝達特性が重要な役割を果たしています。本記事では、トクセン工業のコイリング加工によって生み出される「中空コイル」の特性と応用について紹介します。

中空コイルとは

コイリング加工はその名の通り、コイルを作る工程です。私たちはこのコイルを中空コイルと呼んでいます。
コイルと耳にすると、バネをイメージしがちですが、今回のコイリングで作られる中空コイルは「バネ」のような動きに加え、別の特性も持ちます。その特性から「トルクコイル」と呼ばれることもあります。
中空コイルは一方の端の回転や力をもう一方の端に伝えることができます。しかも様々な方向に、例えば蛇のように蛇行状に曲がった筒の中でも伝達する特性は損なわれません。

特性を決める、コイルの構成

中空コイルのコイル構成は、バネと同様にワイヤのサイズや強度、ワイヤピッチがあります。
それに加え、一度に巻くワイヤの本数「条数」と、コイルが同心円上に重ねられた「層数」があります。条数と層数の掛け合わせで、コイルの回転特性、トルク伝達特性が変わります。
また、しなやかさや硬さを変化させることが可能です。
このコイル構成にトクセン工業のワイヤ特性をコントロールする技術が重ね合わされ、お客様の細かなご要望に応えることが可能です。

回転を伝えると何ができる?

中空コイルは回転やトルクを伝えます。
まずは回転を伝える場合ですが、例えば中空コイルの一端にカメラが備わっているとします。その一端は狭く細く入り組んだ経路を進みます。迷路のようにたくさんの分岐を進み、目的地に到着します。
そういった状況であれば、分岐点を曲がったところで回転が溜まり、カメラがくるくる回って360度の全周方向を確認することができません。
しかしながら中空コイルは回転の遅れやロスを作ることなく、どんなに分岐で湾曲しても手元側の端部の回転でカメラが回転します。
また、中空コイルはコイル状ですので内側に空間があり、カメラの通信や電源供給のケーブルを配置することが可能です。

トルクを伝えると何ができる?

中空コイルはトルクも伝えることができます。
例えば中空コイルの一端にドリルを付けます。カメラと同じで迷路を進んでいきますが、迷路の途中に通路を塞ぐ障害物が現れたとします。
中空コイルは岐路で曲がっていても手元側端部で発生させたトルク(回転して力を円周方向に加える)をドリル側の端部に伝え、このトルクでドリルが障害物を粉砕することが可能になります。
粉砕後、中空コイルはコイル内部が空洞ですので、手元側に吸引装置があると、その空洞を通って粉砕物の除去が可能です。
トクセン工業のコイリング加工で作られた中空コイルは様々な低侵襲治療で活躍しています。

中空コイルが拓く可能性

低侵襲治療以外でもロボットなど、駆動や制御を離れた場所に伝達することが必要な際に用いられることが考えられます。
中実のシャフトでは不可能な柔軟性を持っていることから、デザイン、構造設計の柔軟性に貢献できます。
様々なサンプルをご用意しております。ご要望やお困りごとがありましたらお気軽にご相談ください。

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