2種類の撚り方式

2026.04.01

技術コラム

  • #撚線
  • #撚線加工

2種類の撚り方式

撚線とは、複数の素線(ワイヤ)を束ね、一定の間隔でねじって一本にまとめた製品のことを指します。
撚り合わせることで力が分散し、一本の線だけでは得にくい「強さ」と「しなやかさ」を両立でき、切れにくく、曲げや振動にも強くなります。
また、撚り方(方向・間隔・本数)を変えることで「強度」や「曲げやすさ」等の性質を調整することが可能で、橋のケーブルやロープ、電気配線、タイヤ補強など幅広い分野でさまざまな製品に使われています。

撚線加工をするための設備「撚線機」について

撚線機とは、複数の素線を所定の張力と回転運動により均一に撚り合わせ、一本の撚線として形成するための装置です。
素線を一定速度で送り出しながら回転させることで、安定した撚りピッチと形状を実現します。
撚線機は用途や製品構造に応じてさまざまな方式が存在し、ワイヤーロープやケーブルなどの製造に広く用いられています。
代表的な方式としては、①バンチャー方式と②チューブラー方式の二種類があり、それぞれの特徴や用途に応じて使い分けられています。

①バンチャー撚線方式の特徴

バンチャー撚線方式は、複数の素線をローラーで集束させて機械へ送り込み、機械全体を回転させながら素線束を撚ってスチールコードを製造する方法です。
この方式では、素線そのものがねじられながら撚線体が形成されていきます。
バンチャー設備は、回転体が比較的小さいため高速で回転させることができ、生産速度を高めることで高い生産性を実現できます。また、設備構造が比較的簡単で、装置自体もコンパクトであるという利点があります。

②チューブラー撚線方式の特徴

チューブラー撚線方式は、素線ボビンを円筒状のチューブ内部に配置し、チューブ全体を回転させながら素線を送り出して撚りを形成する方法です。
この方式では、素線自体は捩じられずに撚線体が形成されていきます。
素線は、ガイドを通りながら徐々に撚り合わされるため、撚り構造が安定し、高強度コードや多層構造コードの製造に適しています。
一方で、回転体が大きく慣性も大きいため、生産速度は比較的遅く、設備が大型化しやすいことで装置コストも高くなる傾向にあります。

撚りのかかったワイヤ

スチールコードの要求特性

タイヤ補強材に使用されるスチールコードには、高い引張強度と優れた疲労耐久性が求められます。
タイヤは、走行時に繰り返し大きな荷重や変形を受けるため、長期間にわたり性能を維持できることが重要です。
また、ゴムとの優れた接着性によりタイヤ内部で一体化し、内部構造の安定化や耐久性の向上に寄与します。
さらに、撚線径や捻じり間隔、撚り構造の均一性、品質ばらつきの少なさも重要であり、安定した製品性能と高い信頼性を確保することが求められます。

スチールコードなどの撚線製品では、素線の寸法精度や表面処理状態が最終性能に大きく影響します。
伸線条件や表面処理を含めた線材仕様のご相談は、お問い合わせページより承っております。

担当事業部
タイヤ用線事業部